映画『セブン』きっと誰もが驚く、制作者からのメッセージを読み解いていく。

第一回、デヴィッド・フィンチャー監督映画、セブンについてお話ししていく。

 

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今回は、この映画のメイン三人の関係性を整理し、クライマックスの見方を変えて、視聴者に投げられたメインメッセージを読み解いていく。

 

「私が今ここに書くのは、誰もがそれを望んだからだ。」

と意味深なことを書きつつ、おそらくまだ人目につくところには解説されてないことを書いていく。(断定的な言葉遣いをするが、あくまで私の推測に過ぎない)

 

 

 

視聴済みの方向けの記事なので、あらすじは省略する。

 

この映画に関して、寄せられる感想としては、最後のミルズの行動について、「悲しすぎる…」「胸糞」「救いがない」等が上げられるだろう。

確かに、物語の結末の衝撃の凄まじさたるや、絶望を感じざるを得ない。

なぜ、ミルズはジョンのを殺したのか、その行動になんの意味があったのか。

 

それでは本題、まずはミルズ、サマセット、ジョン・ドゥの三人の関係性について。

彼らは絶妙な、三角関係なのである。

 

サマセット  警察官(正義) 罪人に対して消極的に行動する

ミルズ    警察官(正義) 罪人に対して積極的に行動する

ジョン・ドゥ 犯罪者(悪)  罪人に対して積極的に行動する

 

サマセットとジョン・ドゥという完全に相容れない立場と行動原理を持つ二人の間で揺れ動くミルズという関係性なのである。

 

罪人に関しては云々については

サマセット→犯罪だらけの町で辟易していて、引退を待ち望んでる。妻同然の女性に恋人が出来た際に、警察官でありながら犯罪だらけのこの町で子供を育てることに恐怖し、生むべきではないと考えた。正義感が希薄。→罪人に対して消極的

ミルズ→犯罪者を捕まえ功績を上げたい。感情的。妻が殺された際に犯罪者であるジョン・ドゥに自らの手で裁きを与える。→罪人に対して積極的

ジョン・ドゥ→罪人に罪を償わせたい。歪んだ正義感を持つ。→罪人に対して積極的

という具合に推測したものである。

 

ミルズは、警察官として、その犯罪者を捕まえるという職務を越えて、正義感が強く、感情的で、犯罪者に対して無関心ではいられない節がある。

そしてこのミルズこそが、私たち視聴者なのである。

ミルズの罪は“憤怒”だけではない、詳しくは次回お話ししていく。これから私が考察する内容は、監督からのメッセージなくして語れないからだ。

なので先んだって、そのメッセージをご紹介する。

 

クライマックス、車中での会話を、詳しくみていこう。
これはミルズとサマセットがジョン・ドゥのしてきたことを問い詰めるシーン。


このシーンに関して、何だか会話の内容が分かりにくいと感じた方は多いのではないだろうか。

実はここでとんでもないことが起きている。

 

ジョン・ドゥはミルズを通して視聴者である私達と話しているのだ。
その時のジョン・ドゥはデヴィッド・フィンチャー自身であり、我々へのメッセージを語っている。

それを踏まえて、クライマックスのシーンをおさらいしよう。あまりに大胆な監督のメタ過ぎる発言に注目である。

(ブラピに対するメタ発言もあり、必見)

 

以下ジョン・ドゥの台詞を『』で示す。 

 

『人にものを聞かせるためには手で肩を叩いてもダメだ。ハンマーを使うのだ、そうすれば人は本気で聞く。』

「お前は人にものを聞かすほど特別なのか?」

『特別じゃない、私は人と同じだ。だが私のしてることは特別だ。』

「してること?」

『ああ。』

「別に何も特別じゃない。」

『違う。』

「そうさ。不思議なことに2ヶ月も経つとみんなは興味を失い、すべて忘れちまう。」
 『まだ全部終わってない。このすべてが終わればその結末は、人には理解しにくいが認めざるをえなくなる。』

「訳がわからんね、くだらん計画だ。」

 

『早く君に見せたいよ、すばらしい結末だ。』

「俺はお前の横についてる、ショーが始まったら教えろ、見逃したくない。」

『心配ない、見逃さんよ。絶対にな。』

「うれしそうだな。」

『もうすぐだ。』

 

中略(犯人が殺してきた人々の罪を捲し立てる)

『この腐った世の中で、誰が本気で奴らを罪のない人々だと?だが問題は、もっと普通にある人々の罪だ。我々はそれを許してる。それが日常で些細なことだから。朝から晩まで許してる。だがもう許されぬ、私が見せしめをした。私がしてきたことを人々は考え、それを学び、そして従う。永遠にな。』

「誇大妄想だ。」

 

『君は感謝しろ。』

「どうして?」

『この後人々の記憶に残る。……いいかね、私が今ここにいるのは、私が望んだからだ。』

 

 

次回、このクライマックスを少しだけ解説しつつ、映画全体を更に深読みしていく。

 

 

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